かみ合わせ治療の感想③治療してみた実感

”噛み合わせはとても良い感じだ。何より、これまで奥歯であまり噛めていなかったのが噛めるようになった。肉など固いものをこれまでは犬歯付近で噛んでいたようで、奥歯で噛めるようになったことで、より弱い力で噛めるようになった。これまで、どれだけ力いっぱい噛んでいたかと驚いた。これに留まらず、しっかり噛んで食べられるようになったのを日々実感出来ていることに驚いている。”

Nさんは治療を受けたことで、今まで奥歯できちんと噛めていなかった事を実感されたようてす。

真ん中のネジが緩んだはさみは切りにくいものです。でも、それしかなければ何とかコツを探して使うことでしょう。しかしネジを締め、刃をとぎ直せば、いとも簡単に切ることが出来るようになるのと同様です。

"歯ぎしりは、マウスピースでカバーしてるので分からないが、日中の噛み締めでは、歯への偏りある負荷が減っているのではないかと勝手に思っている。"

Nさんはマウスピースを噛み割ってしまうことがあり、何度か作り治しました。潜在的な噛み締め力は強いようです。日中も行っていることに気がつかれたようで、直接歯に加わる力がコントロールされることはとても重要です。

”自分の中では歯ぎしり問題の解決のためにスタートしたこの治療だったが、結果として、理想的な噛み合わせを手に入れる事になり、歯ぎしり音の問題より遥かに重要な食べる時の噛み合わせを良くできたのはとても良かったと感じている。改善というレベルではなく改革してもらったというレベルだ。物がしっかり噛めていないと感られている方は、是非ともチェックしてもらう事をオススメします。小野田先生、ありがとうございました!”

食事がしやすくなるということは食生活の質の向上に繋がります。

40代のNさんにとっても今回のかみ合わせ治療はインパクトのあるターニングポイントとなったようですが、50代、60代、70代…と歳を重ねるごとに、美味しく食べられることは健康と人生の質に繋がっていると切実に実感されるようです。

また、当院のかみ合わせ治療は「予防的かみ合わせ治療」です。今後も定期的なチェックと適切なフォローアップを行うことで、Nさんも歯のトラブルの発生頻度が減って来ることを実感されるようになると思います。引き続きご来院頂けますと幸いです。

かみ合わせ治療の感想②治療の内容

”最初に、噛んだときの圧力を測る。機械を使い噛み方をデータ化し、グラフィカルな説明を受けた。その後は、噛み合わせをチェックし、最適なかみ合わせになる様に削ったり、足したり。”

かみ合わせは歯並びのように見て分かるものではなく、主観的に判断するのは困難です。当院ではかみ合わせ接触検査装置「Tスキャン」を用いてかみ合わせのバランスを視覚化し、患者さんと検査結果を共有しております。検査結果から治療の妥当性をご理解頂いた上でかみ合わせ治療に入ります。

”虫歯でもない歯を噛み合わせのために削るのだ。初めは抵抗があったが、どうせ日中や夜に自分の歯で削ってるのだから、まぁいいかと。歯ぎしりを長年してると、削れてくる歯が変わるのだ。その時に邪魔になる歯を無意識に削ってるらしい。私の場合、前歯も削れだして見た目も悪くなりちょっと嫌だなという状態だった。削るのとは逆に足すということもする。歯の上に透明な歯の代わりとなる山を作っていく感じ。削ったり、足したり、噛み合わせがぴったりになるまで延々調整し続けた。”

歯ぎしりは顎の関節の機能(潤滑性)を妨げるような、上下の歯のかみ合わせの不具合を除こうとする無意識の擦り合わせ行為であるという側面を持っております。

しかし、人体の中で一番堅い組織である歯のエナメル質を自ら適切に擦り合わせることは出来ず、不適切に削れて悪循環に陥ることが殆どです。Nさんもそのような状況でした。

かみ合わせの治療は「削る調整」「足す調整」を並行して行います。削る調整は最少で21ミクロン(0.021㎜)の精度で行います。そのため、時に「延々と」慎重に調整することとなります。

”私の場合、人より少し多かったみたいで4ヶ月 12回で完成した。途中、昔の詰め物がいまいちだったので詰め直しもしてもらった。地道に噛み合わせの調整をして頂き、いったんの完成形となった。私の感覚ではひとつの作品だ。小野田先生の執念というか、ミリ以下の調整を繰り返し繰り返し、自分の歯の上に理想の噛み合わせを作り上げて頂いた作品という感じだ。”

Nさんは口を開けるときに左の顎の関節にクリックがあり、不安定でした。そのため治療が一段落するのにやや時間がかかりました。当院では通常8回から12回の治療で一段落すると説明しております。それより早く落ち着く方もいらっしゃいますし、それ以上かかることもあります。「自分の歯の上に理想のかみ合わせを作り上げて…」というのはまさに的を得た表現だと思います。

                            ③へ つづく

かみ合わせ治療の感想①きっかけ

Nさん(40歳男性)から当院のかみ合わせ治療の感想を頂きました。

まずは治療を受けることになったきっかけから。

’’私は小学生の時から歯ぎしりをしている。社会人になってからはマウスピースをして寝ている。マウスピースを忘れることもあるし、日中も噛み締めているからだろうか、歯は磨耗し、糸切り歯は山が削れ、前歯も削れてきた。解決策もなく、どうしたものかと思っていた。’’

Nさんの場合は奥様からですが、ご家族の方から歯ぎしりがうるさいという指摘を受けて来院される方はいらっしゃいます。殆どの方の歯は長年にわたる歯ぎしりで全体的にすり減っているのが特徴です。

’’両親が小野田先生に診てもらっていたので、歯の違和感があった時に診て頂いた。その時の問題は大したことなかったのだが、噛み合わせの問題を指摘され、長年の課題であった歯ぎしり問題が解決するかもしれないと治療をお願いした。’’

かみ合わせの問題をご本人が自覚していることは少ないです。なぜならかみ合わせの感覚というのは、例えば歯並びの善し悪しと違い、人と比べて分かるものではないからです。

                            ②へ つづく

歯科恐怖症だった友人④(本人からコメント)

友人からこのブログの内容を見てもらったところ、以下のコメントを頂きました。

歯科が嫌いな患者はスタッフが変わったり複数いるのはあまり好きでないです。

なぜなら主治医に弱点を説明してようやく理解が進んでも、衛生士が来たらまた1からの説明をしなくてはなりません。

効率化は否定しないものの、オーダーメイドの細やかさは分業制の歯科医院には望めない・・・

これが、患者意見から、逆の小野田歯科医院の強みなんだと思います。

歯科治療では恐怖症患者に、自由診療で、貸切時間を作るところもありますが、逆説的には先生を貸切ですものね。

当院のスタッフは受け付けのみです。

そのため、診療は殆どすべて院長である私が対応する体制なのですが、効率に難がある反面、彼のような歯科恐怖症の患者さんには都合が良いようですね。

歯科恐怖症の中には嘔吐反射など、器質的なものもありますが、過去の私の臨床経験では、かたくなに嘔吐反射で型取りが出来なかった患者さんは記憶の限り一人しかおられません。あとの方は最初はつらそうにしていても、治療になれてくると治まってしまいます。

私:「そう言えば、最初のころ型をとるとき、オェッとしていましたよね?」

患者さん:「ああ、そういえばそうでしたね。」

という感じです。

また、幼少期を含めた過去のトラウマティックな治療経験があったと思われる患者さんで刺激に対し極度に反応して身体がビクッとなってしまったり、多汗となる方もいらっしゃいましたが、よく話し合い、治療に対して受け身にならずに積極的に参加するように促して、痛みを伴う治療に対しては必ず麻酔をすると確約するようにしたところ、前向きに治療に通って来られるようになりました。

患者さんと歯科医師の信頼関係というものを明確に定義するのは難しいですが、患者さんが「治療されている」という意識を持たれて治療を受けているうちはよい関係を保つことは難しいと思っています。歯科医師と患者さん、それぞれに役割があり、それらをきちんと果たす必要があると思います。このことはまた改めて書きたいと思います。

歯科恐怖症だった友人③(本人の感想)

彼との話のやり取りから治療についての感想を挙げてみました。

  • 穴あきの前歯が綺麗になり口を開かないようにとか常に意識していたことが要らなくなり仕事でのコンプレックスがなくなった。
  • 根の歯茎の腫れもなくなり、歯磨きの出血も減った。
  • かみ合わせの治療最初は違和感あったが慣れてきた。
  • 時々頬の内側を思いっきり噛んで流血していたが、体調かなんかで腫れていたから噛むのだ思っていた。かみ合わせの不具合によるものだとは思いもよらなかった。
  • 以前は居眠り中に噛み締めて痛みを感じることがあったのがなくなった。
  • (オープンハート姿勢)によって治療の痛みをコントロール出来ることに驚いた。以前に受診した歯科医院では表面麻酔した上に体温近く温めた麻酔薬を注入していたが、打つポイントが違うのではないかというくらいに周りばかり感覚がなくなって、治療の痛みは全く取れなかった。
  • 左右共に心配なく噛めるようになったことが実に幸せに感じる。

歯科恐怖症だった友人②(治療)

治療の経過について以下に記します。

友人の主訴:

  • 左上の奥歯の根(神経)をとった後が膿んでいるようで、時々歯肉が腫れる

 →治療が嫌でひどいときは抗生物質でダマシダマシ抑えている

  • 『20年頑張ってくれた左下奥歯のインレー(詰め物)』が取れている。

 →型取りのつらさを思ってそのままにしている

実際に拝見すると、それ以外にも…

  • 左上犬歯、第一大臼歯も詰め物が脱離したか破折
  • レントゲン検査の結果、左上の第一小臼歯は根の先に膿をもっており、それが原因で歯ぐきが時々晴れてくる様子
  • 話にあった通り、前歯の真ん中は詰め物が取れ、本人はあきらめている様子
  • その他にも歯と歯ぐきの境の小さな詰め物が取れたか、削れて窪んでいる

治療の流れ

  • 治療に当たってはリラックスを図るため、 オープンハート姿勢 を取ってもらうようにした。
  • 最初は欠けていた前歯の詰め物。 クロスオーバーなかみ合わせ に注意して調整した
  • 奥歯も欠けて食べものが詰まりやすくなっており、これらも口腔内で直接詰め物をした
  • 2回目の受診からかみ合わせの快適性を高め、治療になれるためにかみ合わせの 削る調整 開始。
  •  削る調整 を行い、左右的なかみ合わせのバランスを補正しつつ、度々膿んで悩ませられて来たという左上小臼歯の根の治療(根管治療)を開始、数回の治療で膿の出入口はふさがり、回復して来た。
  • かみ合わせの治療4回目に 足す調整 開始、第一大臼歯で左右のバランスをとり、上下顎の糸切歯に 側方ガイド を付与し、下顎を横や前にずらした時の引っかかり( 咬合干渉 )を除いた。
  • 友人はかみしめが強いため、顎の関節に緩みがあり、足す調整以後も関節のコンディションに変化が生じた。それに伴って左右的な咬合バランスは変化するため、適宜、足す調整削る調整 を行った。エナメル質がすり減って象牙質が露出しているところは削ると凍みたり、普段も食べるときに痛みが出るので、麻酔をして象牙質部分をコーティング処置した。
  • 顎の関節のコンディションの変化は一定方向に向かうことが殆どで、それ自体は身体が安定に向かっていく過程である。ただ、その中で修復した樹脂が再度欠けたりするが、その都度修復して過度なかみしめの力が加わらないようにすると、再び欠けなくなってくる
  • 現在治療開始から1年8ヶ月経過。集中的に治療に通ってもらえるときもあれば、忙しくて間が空くこともあった。詰め物が欠けることは極めて少なくなり、顎の関節のコンディションも大分落ち着いてきている。

歯科恐怖症だった友人①(来院歴)

仕事の関係で日本各地で転々と転勤を繰り返してきた友人がいます。彼は歯科治療でとても苦労してきました。

まずは嘔吐反射。レントゲン撮影で口の奥にでフィルムを入れるのもオエッとなってつらいし、歯型を採るなどもっての外です。

痛みにも弱く、前歯の治療の際には麻酔が効かず、追加追加で顔中麻痺するくらいになってもダメだったことがあるそうです。

そのため治療が中途半端になるせいか、詰め物をしてもらってもすぐに取れてしまいます。またあのつらい思いをしなければいけないのかと思うと憂鬱になりますが、意を決して行ってもやはり状況は変わらず、治療しては取れての繰り返しです。

結局、前歯の詰め物が取れるのは仕方無いのでそのままにすることにしたそうです。営業職である彼にとって前歯の詰め物が欠けたままで人と会って話をするのは苦痛だったに違いないのですが、治療における苦痛はそれ以上だったのでしょう。

そういう彼ですから、転勤先ではホームページ等いろいろと探して自分でも歯科治療を安心して受けられるような歯科医院を探して受診して来たそうです。しかし、無痛治療を謳っているので期待して行っても麻酔は効かないし、先生に促されても痛いので口を開けるのが恐ろしく、そうこうしているうちに時間が経ち、待合室の患者さんが増えて来ると、それはそれで申し訳ないという…人の良い彼はそこでも悩むのでした。

2年前転勤に区切りが付いて東京に戻ってきて、彼とは学生時代以来に連絡を取るようになりました。詰め物が取れたというので声を掛けたところ、困った患者だが診てもらえないだろうかと治療を依頼されました。