歯科恐怖症だった友人①(来院歴)

仕事の関係で日本各地で転々と転勤を繰り返してきた友人がいます。彼は歯科治療でとても苦労してきました。

まずは嘔吐反射。レントゲン撮影で口の奥にでフィルムを入れるのもオエッとなってつらいし、歯型を採るなどもっての外です。

痛みにも弱く、前歯の治療の際には麻酔が効かず、追加追加で顔中麻痺するくらいになってもダメだったことがあるそうです。

そのため治療が中途半端になるせいか、詰め物をしてもらってもすぐに取れてしまいます。またあのつらい思いをしなければいけないのかと思うと憂鬱になりますが、意を決して行ってもやはり状況は変わらず、治療しては取れての繰り返しです。

結局、前歯の詰め物が取れるのは仕方無いのでそのままにすることにしたそうです。営業職である彼にとって前歯の詰め物が欠けたままで人と会って話をするのは苦痛だったに違いないのですが、治療における苦痛はそれ以上だったのでしょう。

そういう彼ですから、転勤先ではホームページ等いろいろと探して自分でも歯科治療を安心して受けられるような歯科医院を探して受診して来たそうです。しかし、無痛治療を謳っているので期待して行っても麻酔は効かないし、先生に促されても痛いので口を開けるのが恐ろしく、そうこうしているうちに時間が経ち、待合室の患者さんが増えて来ると、それはそれで申し訳ないという…人の良い彼はそこでも悩むのでした。

2年前転勤に区切りが付いて東京に戻ってきて、彼とは学生時代以来に連絡を取るようになりました。詰め物が取れたというので声を掛けたところ、困った患者だが診てもらえないだろうかと治療を依頼されました。