歯科恐怖症だった友人②(治療)

治療の経過について以下に記します。

友人の主訴:

  • 左上の奥歯の根(神経)をとった後が膿んでいるようで、時々歯肉が腫れる

 →治療が嫌でひどいときは抗生物質でダマシダマシ抑えている

  • 『20年頑張ってくれた左下奥歯のインレー(詰め物)』が取れている。

 →型取りのつらさを思ってそのままにしている

実際に拝見すると、それ以外にも…

  • 左上犬歯、第一大臼歯も詰め物が脱離したか破折
  • レントゲン検査の結果、左上の第一小臼歯は根の先に膿をもっており、それが原因で歯ぐきが時々晴れてくる様子
  • 話にあった通り、前歯の真ん中は詰め物が取れ、本人はあきらめている様子
  • その他にも歯と歯ぐきの境の小さな詰め物が取れたか、削れて窪んでいる

治療の流れ

  • 治療に当たってはリラックスを図るため、 オープンハート姿勢 を取ってもらうようにした。
  • 最初は欠けていた前歯の詰め物。 クロスオーバーなかみ合わせ に注意して調整した
  • 奥歯も欠けて食べものが詰まりやすくなっており、これらも口腔内で直接詰め物をした
  • 2回目の受診からかみ合わせの快適性を高め、治療になれるためにかみ合わせの 削る調整 開始。
  •  削る調整 を行い、左右的なかみ合わせのバランスを補正しつつ、度々膿んで悩ませられて来たという左上小臼歯の根の治療(根管治療)を開始、数回の治療で膿の出入口はふさがり、回復して来た。
  • かみ合わせの治療4回目に 足す調整 開始、第一大臼歯で左右のバランスをとり、上下顎の糸切歯に 側方ガイド を付与し、下顎を横や前にずらした時の引っかかり( 咬合干渉 )を除いた。
  • 友人はかみしめが強いため、顎の関節に緩みがあり、足す調整以後も関節のコンディションに変化が生じた。それに伴って左右的な咬合バランスは変化するため、適宜、足す調整削る調整 を行った。エナメル質がすり減って象牙質が露出しているところは削ると凍みたり、普段も食べるときに痛みが出るので、麻酔をして象牙質部分をコーティング処置した。
  • 顎の関節のコンディションの変化は一定方向に向かうことが殆どで、それ自体は身体が安定に向かっていく過程である。ただ、その中で修復した樹脂が再度欠けたりするが、その都度修復して過度なかみしめの力が加わらないようにすると、再び欠けなくなってくる
  • 現在治療開始から1年8ヶ月経過。集中的に治療に通ってもらえるときもあれば、忙しくて間が空くこともあった。詰め物が欠けることは極めて少なくなり、顎の関節のコンディションも大分落ち着いてきている。

歯科恐怖症だった友人①(来院歴)

仕事の関係で日本各地で転々と転勤を繰り返してきた友人がいます。彼は歯科治療でとても苦労してきました。

まずは嘔吐反射。レントゲン撮影で口の奥にでフィルムを入れるのもオエッとなってつらいし、歯型を採るなどもっての外です。

痛みにも弱く、前歯の治療の際には麻酔が効かず、追加追加で顔中麻痺するくらいになってもダメだったことがあるそうです。

そのため治療が中途半端になるせいか、詰め物をしてもらってもすぐに取れてしまいます。またあのつらい思いをしなければいけないのかと思うと憂鬱になりますが、意を決して行ってもやはり状況は変わらず、治療しては取れての繰り返しです。

結局、前歯の詰め物が取れるのは仕方無いのでそのままにすることにしたそうです。営業職である彼にとって前歯の詰め物が欠けたままで人と会って話をするのは苦痛だったに違いないのですが、治療における苦痛はそれ以上だったのでしょう。

そういう彼ですから、転勤先ではホームページ等いろいろと探して自分でも歯科治療を安心して受けられるような歯科医院を探して受診して来たそうです。しかし、無痛治療を謳っているので期待して行っても麻酔は効かないし、先生に促されても痛いので口を開けるのが恐ろしく、そうこうしているうちに時間が経ち、待合室の患者さんが増えて来ると、それはそれで申し訳ないという…人の良い彼はそこでも悩むのでした。

2年前転勤に区切りが付いて東京に戻ってきて、彼とは学生時代以来に連絡を取るようになりました。詰め物が取れたというので声を掛けたところ、困った患者だが診てもらえないだろうかと治療を依頼されました。

開業して20年になりました

お陰様で5月で開業から20年が経過しました。

20年…. 赤ちゃんが成人になるくらいですから、気が遠くなるような年月です。大きなトラブルなくここまで事業を続けることが出来たことはある意味奇跡のように思われます。

ひとえに患者さんの皆さまが当院に足をお運び頂いた事、そして家族の支え、健康に感謝しております。