割れ目が深く神経まで達することもあります。
こちらは前回とは別の方ですが、60代女性の上あごの奥歯です。
ただ噛むだけならば何とも無いのですが、食事の際に下の矢印の部分に食べものが触れると飛び上がるくらい痛い!! とのことでした。
さらによく見てみると、複数の割れ目が見られます。
左側の方が褐色のラインが濃く、古くからあったものと思われます。手前の方は薄いラインで、おそらく最近出来たのでしょう。
複数の割れ目が繋がって、歯が割け、内部の神経まで達したものと思われます。
食事の際に割れ目が広がるように力が加わると神経を刺激するために、激痛が走るのだと推察されました。
このような場合、割れ目に沿って細菌が神経に達し感染を起こし、さらにひどい症状が起こるため、神経を取る処置が必要になります。
次の写真は神経を取るために歯に穴を開けたところを側面から覗いたところなのですが、共に割れ目が深いところまで達しているのが分かります。
よく見ると隣の小臼歯にも割れ目が入っているのが分かります。
前回ご覧頂いたお茶碗の割れ目と同じで、一度歯に割れ目が生じると自然に治ることはありません。
今回は60代の方の例をご覧頂きましたが、年齢にかかわらず同様のトラブルは起こり得ます。
そして、その原因こそ、日々無意識の内に歯に加えられる強大な噛みしめる力なのです。