噛みしめる力が歯を壊している(知覚過敏編①)

またまた久しぶりになってしまいましたが、続きです。
今回は『歯が凍みる!!』知覚過敏についてです。

「冷たい物を口にすると歯が凍みるのですが、虫歯でしょうか?」
今日も日本、いや、世界中の歯科医院で患者さんが歯科医師に尋ねていると思います。

この質問に対する答えは「NO」で、時に「Yes」です。

多くの方がお気づきの通り、歯が凍みて歯医者さんに行っても虫歯はなかった、と言うことが良くありますよね? もちろん、虫歯の時もありますが、いつもではない。

つまり、
「凍みる=虫歯」ではない

と言うことです。

なぜなら「凍み」を感じているのは歯の中にある神経の温度センサーであり、通常では問題にならない温度変化も、病的な状態になると不快な感覚として脳中枢に伝わり、我々を悩ますこととなる訳です。

「神経が病的な状態になる? 虫歯が進んでばい菌が神経を脅かしているからそうなるのじゃないの?」

そう、だから「凍みる=虫歯」説 が世界中に広まっているのだと思います。

実は虫歯が進んで神経がばい菌によって脅かされなくても、神経は病的な状態になるのです。

知覚過敏編②へ続く

噛みしめる力が歯を壊している(虫歯編)

夜寝ている時だけではなく、日中でも、我々は無意識の内に強い噛みしめを行っています。姿勢の変化に伴い、その力は一部の歯に集中し、様々な歯のトラブルが生じます。前回は歯に生じる割れ目について取り上げましたが、今回は虫歯の発生について説明します。

下の動画をご覧下さい。

虫歯と言えば少しずつ歯が溶けていくようなイメージではないでしょうか?

しかし、実際には噛みしめによって割れ目が生じ、

食べものや虫歯の細菌が作り出す酸が中に浸透して象牙質を軟化させます


象牙質の裏打ちを失ったエナメル質は、噛む衝撃によって欠け落ち、突然ぽっかりと穴が開き、虫歯だと気がつくことになります。

これは道路のアスファルトが下の土壌の流動化によって陥没してしまうのに似ています。

食べものの嗜好や噛みしめる力の大きさ、あるいはエナメル質の厚みや堅さも皆さんそれぞれです。

従って虫歯の進行速度も様々なのですが、このタイプの進行は数ヶ月で進むこともあり得ます。

定期的に歯科を受診しているのに、虫歯が新たに発見され、治療を繰り返しているというような方は噛みしめの力が背景にあるかもしれません。

かみ合わせのバランスを整えて、一部の歯に破壊的な噛みしめの力が加わらないようにするかみ合わせ治療は、虫歯の進行を遅らせたり、新たな虫歯を作らないようにする予防的な治療と言えます。

つまり「予防的かみ合わせ治療」ということになります。